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社員が辞めない組織をつくる ― 人事評価制度とシステム導入の実践ガイド

作成者: ブロガー1|2025年7月3日

人材確保が困難になる中で、「採る」以上に重要なのが「辞めさせない」こと。社員が安心して働き、成長を実感できる組織づくりには、明確で納得感のある人事評価制度が欠かせません。
本記事では、社員が離れる本質的な理由から始まり、評価制度が生む効果、代表的な人事評価システムの比較、導入ステップまでを一貫して解説します。

1. 社員が辞める根本原因とは?

表面的な退職理由としては「給与」や「人間関係」がよく挙げられますが、実際には以下のような“見えない不満”が背景にあります。

  • 自分の頑張りが評価されていない
  • 将来のキャリアが見えない
  • 上司とのコミュニケーションが少ない
  • 成長機会が与えられない

社員が「この会社にいても意味がない」と感じた時、離職は現実のものとなります。

 

2. 評価制度がないことで起こる3つの問題

評価制度の不在は、組織全体にネガティブな影響を及ぼします。

1. モチベーションの低下

社員は「頑張っても評価されない」と感じると、やる気を失います。
評価制度がなければ、何を目指して働けばいいのか分からず、仕事が“作業”になってしまいます。結果、成果にも結びつかず、離職の原因になります。

2. 不公平感の醸成

評価が上司の主観や好き嫌いで決まると、社員間に不信感が生まれます。
基準があいまいなまま運用されると、「結局、気に入られた人が得をする」といった感情が社内に広がり、組織の信頼関係を壊します。

3. 育成・配置がうまくいかない

評価データがないと、誰をどう育てるか、どこに配置するかの判断材料がありません。
結果として、能力と役割がミスマッチになり、適材適所も実現できなくなります。マネジメントの機能不全に繋がります。

このような問題は、「評価制度がない」ことによる組織の見えにくい損失です。制度を整えることは、社員の力を正しく引き出すための“土台”づくりだと言えます。

3. 評価制度がもたらす好循環とは

明確で公平な評価制度は、社員のエンゲージメントを高め、次のような好循環を生み出します。

ステップ①:社員の「頑張り」が見えるようになる

評価制度が整備されると、社員の行動や成果が「誰が何をして、どう貢献したか」として可視化されます。
→ 結果だけでなく、プロセスや挑戦も評価対象に含めれば、社員は報われる実感を得やすくなります。

  • 数値未達でも「新しい施策を提案し実行した」姿勢が評価される
  • チーム支援や後輩育成といった“見えにくい貢献”も記録される

ステップ②:「見える頑張り」が正当に評価される

評価軸が明確で、上司と部下で事前にすり合わせができていれば、「なぜこの評価なのか」が納得できます。
→ 社員は「公正に見てもらっている」と感じ、自律的な成長意欲が高まります。

ポイント

  • 絶対評価(自分の目標達成度で評価)により周囲との比較による不満が減る
  • フィードバックに基づく面談で、社員との信頼関係が深まる

ステップ③:評価が報酬・昇進に反映される

人事評価が人事・報酬制度と連動することで、社員の頑張りが昇給・昇格・インセンティブなどに繋がります。
→ 「頑張るほど見返りがある」という実感がモチベーションの持続につながります。

具体例

  • 評価A:基本給+昇給+表彰
  • 評価B:次回リーダー登用候補として育成計画に組み込む
  • 評価C以下:育成支援や配置転換など改善支援策を実施

ステップ④:上司との対話が活性化し、目標が明確になる

評価を通じて上司との1on1面談や振り返りの機会が増えると、「何を目指すべきか」「どこが足りていないか」が明確になります。
→ 社員は次の目標に向かって動き出しやすくなり、職場内での“成長の会話”が増えます。

ポイント

  • 評価面談は「伝える場」ではなく「共有・成長を支援する場」へ
  • 部下の課題・悩みを早期に発見でき、フォローや配置見直しが可能

ステップ⑤:組織全体の生産性と定着率が上がる

社員一人ひとりの納得感・やる気・スキルが高まることで、チームの雰囲気や成果にも好影響が及びます。
→ 離職が減り、採用コストや引き継ぎコストの削減にもつながります。

波及効果

  • 若手:自己成長を実感できる→離職しにくくなる
  • 中堅:役割意識とキャリアビジョンが明確になる→マネジメント候補に育つ
  • 上司:部下の強みを把握し、リーダーシップを発揮できる→チーム力が上がる

結果として、「この会社で働き続けたい」という気持ちを育むことにつながります。

4. 人事評価システム導入のメリットと注意点

導入メリット(主な効果)

1)評価の「見える化」による納得感の向上

紙やExcel管理では属人化しがちな評価が、クラウドシステムによって誰が・何を・どのように評価したかが明確になります。
→ 社員側も「評価されている実感」が得られやすく、モチベーション維持に繋がります。

2)評価業務の効率化・標準化

評価シートの配布・回収・集計、面談日程管理などがオンラインで一元化され、人的ミスや二重管理を防げます。
→ 管理職の負担軽減、事務作業の時短、評価時期のスムーズな運用が実現。

3)評価データの蓄積と活用

評価結果が蓄積されていくため、個々の成長推移や行動傾向、部署別の傾向分析が可能になります。
→ 昇進・異動・配置・育成の判断材料としてデータドリブンな意思決定が可能に。

4)目標管理(MBO/OKR)の仕組み化

個人やチームの目標と、その達成度の記録・振り返りがしやすくなり、上司との対話や自己成長支援に役立ちます。
→ 業績だけでなく行動・姿勢なども評価可能な柔軟設計が可能。

5)テレワーク・多拠点体制でも評価が運用可能

面談記録やフィードバックもクラウド上で管理できるため、出社・非出社を問わず評価制度を維持できます。
→ 働き方改革や多様な勤務形態にも柔軟に対応可能です。

導入時の注意点(よくある落とし穴)

1)制度設計とシステムの整合性がとれていない

「とりあえずシステムを入れてみた」ではうまくいきません。評価項目や基準が曖昧なままだと、ツールが形骸化してしまいます。
→ 事前に「何を評価するか」を明文化し、現場に合った制度を設計してから導入すべきです。

2)現場への説明・研修が不足している

評価制度やシステムの使い方が管理職・社員に浸透していないと、操作ミスや誤解、不信感を招きます。
→ 初期導入時にしっかり説明会や操作研修を行い、「なぜやるのか」の背景を伝えることが重要です。

3)評価後の活用が不十分

評価結果を集めても、昇給やフィードバックに反映されなければ、制度が形だけのものになります。
評価→報酬→育成→配置の流れを制度上で明確にし、運用に落とし込む必要があります。

4)評価の質は“人”に左右される

どんなに良いツールでも、評価者のマネジメントスキルやフィードバックスキルが未熟であれば制度は機能しません。
評価者研修(フィードバック研修・面談トレーニング)も並行して行うことが推奨されます。

5)システムが複雑すぎて使いこなせない

高機能すぎるツールを選ぶと、かえって操作が難しく、現場で敬遠されるケースもあります。
→ 導入初期は「誰でも使いやすい」「シンプルで直感的」なツールを選定することが成功の鍵です。

5. 主要な人事評価システム

システム選定では、自社の規模や目的に応じて「使いやすさ」「コスト」「導入支援の有無」などを総合的に比較検討する必要があります。

人事評価ナビゲーター

中小企業向けに開発されたクラウド型の人事評価システムで、評価制度の設計から運用・定着までを一貫して支援します。Excel感覚で使えるシンプルな画面設計と、業種・職種ごとに柔軟に対応できる評価シートのカスタマイズ性が特徴。専任コンサルタントが制度構築や評価者研修もサポートするため、制度設計に不安がある企業でも安心して導入できます。

カオナビ

社員の顔写真を起点に、スキル・評価・配置・経歴・目標など、あらゆる人材情報を一元管理できるクラウド型タレントマネジメントシステムです。人材の見える化を通じて、戦略的人事や適材適所の配置、評価制度の効率化を支援。人事部門だけでなく、現場のマネージャーや経営層まで含めた「全社で使える人材管理ツール」として、多くの企業に導入されています。

HRBrain

HRBrainは、「人事業務の見える化と戦略化」を実現するクラウド型タレントマネジメントシステムです。社員の評価・目標管理・スキル・キャリア・人材情報などを一元管理し、属人的だった人事業務を効率化しながら、戦略的な人材活用と人的資本経営を支援します。

あしたのチーム

専任コンサルタントが企業ごとに最適な評価制度を設計し、クラウドシステムで効率的に運用。給与・賞与連動、フィードバック、目標管理(MBO)など実務に直結する仕組みを整えることで、納得感のある評価と社員の成長・定着を実現します。

CYDAS PEOPLE

CYDASは、「はたらくすべての人に、働きがいを。」をコンセプトに、社員一人ひとりの成長と組織の成果を両立させるタレントマネジメントクラウドです。人事評価や目標管理、スキル管理などを一元化し、社員の状態や組織の課題を可視化。個々のキャリア支援と人的資本経営の実現を支援します。

SUZAKU

SUZAKUは、組織心理学とAIをベースにしたタレントマネジメント&人材管理システムです。行動科学に基づくアセスメント(HQ Profile)と組織サーベイ(MSI+)のデータをAIが分析し、採用・配置・育成・エンゲージメント・離職予兆・評価など幅広い人事領域を科学的に支援します。現場の生産性と定着率向上を目指す企業に適しています。


6. 制度設計とツール導入の実践ステップ

評価制度とシステムは、「評価→対話→活用」という流れで活きてきます。以下の5ステップで進めることで、制度が現場に根づきやすくなります。

  1. 評価方針の明文化
    • 経営理念・事業方針と連動した評価軸を明確に定義
  2. 評価シートの設計(職種・役職別)
    • 全社共通ではなく、現場に即したシートを柔軟に作成
  3. 面談とフィードバックの設計
    • 納得感を高める面談体制とタイミング(年2回など)を整備
  4. 昇給・登用・配置との連動
    • 「評価されても給与に反映されない」状態を防ぐ設計が必要
  5. 人事評価システムの活用によるPDCA
    • データを蓄積し、次年度以降の制度改善や戦略立案に活用

7. まとめ|“公平な評価”が人と組織を強くする

社員定着において最も重要なのは、「この会社で認められている」と感じられること。その信頼を築く土台こそが、人事評価制度です。

特に「人事評価ナビゲーター」のような中小企業向けの実用的なツールは、制度設計の負担も軽減し、無理なく“辞めない組織づくり”を支援します。

システムはあくまで道具。社員との信頼関係を築くための“仕組み”として活用し、成長と定着が両立する組織を目指しましょう。