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人件費から見るクラウドサービス導入のメリット

作成者: ブロガー1|2024年6月21日

クラウドサービスを導入する際、最も大きく懸念するのが「導入費」や「利用料」なのではないでしょうか?これまでになかった予算を計上することになり、教育コストなどもかかるため、「果たして本当にクラウドサービスの導入にメリットがあるのか?」と考えてしまう方も多いかと思います。

まずは現在の人件費の総額を把握し、投資対効果(ROI)を評価することが重要になってきます。今回は、人件費の考え方から、クラウドサービス導入後の効果の試算方法まで、詳しく解説していきます。

人件費の内訳

まず、「人件費」について把握していきましょう。

例えば、1人あたりの人件費が、1時間単価5000円だったとします。月間160時間(8時間×20日)で80万円になります。「そんなに給料を払っていない(もらっていない)」と感じる方もいるでしょう。

しかし、社員の時間単価には以下のような給料以外の要素が様々含まれます。

・交通費

・各種手当

・賞与

・年金、保険(福利厚生費)

・退職金制度

社員が会社で働く場合、オフィスコストもかかってきいます。オフィスの賃貸費用、光熱費、設備費用なども発生します。

一般的に、年間の給与の2倍(退職金制度がある企業では3倍)が人件費として見積もられます。

つまり、年収400万円の社員は、人件費として800万円(退職金制度がある場合は1200万円)となります。このコストを時間単価に換算すると、1時間あたり5000円(退職金制度がある場合は7500円)になります。

50名雇用していた場合、総額人件費は年間4億円以上。人件費は非常に高くなります。

クラウドサービスのコストと比較

次に、クラウドサービスの導入コストを比較します。クラウドサービスのコストには以下が含まれます。

  • 初期導入費用: システムのセットアップ費用、トレーニング費用
  • 月額利用料: サービスの月額料金
  • 追加機能費用: 特定の機能や追加ユーザーにかかる費用

これらのコストを、導入するクラウドサービスの年間コストとしてまとめます。

クラウドサービス利用料の具体例

例えば、50名の従業員を雇用している場合のSalesforce(米国発の営業支援ツール)の年間利用料について具体的に見ていきましょう。

1. 初期導入費用(システムのセットアップ費用)

Salesforce 初期導入費用

・セットアップ費用: 約50万円
…内容: システムの設定、データ移行、カスタマイズ

合計: 50万円

・トレーニング費用: 10万円/人 × 50名 = 500万円
内容: Salesforceの使用方法、管理者トレーニング

合計: 500万円

2. 月額利用料

サービスの月額料金 Salesforce Sales Cloud

月額利用料: 150ドル/ユーザー × 50名 = 7,500ドル
年間利用料: 7,500ドル × 12ヶ月 = 90,000ドル

年間利用料 (円換算、1ドル=110円として): 90,000ドル × 110円 = 990万円

3. 追加機能費用

特定の機能や追加ユーザーにかかる費用 

■Salesforce Marketing Cloud

月額利用料: 1,250ドル/ユーザー × 5名 = 6,250ドル
年間利用料: 6,250ドル × 12ヶ月 = 75,000ドル

年間利用料 (円換算、1ドル=110円として): 75,000ドル × 110円 = 825万円

■Salesforce Service Cloud

月額利用料: 135ドル/ユーザー × 10名 = 1,350ドル
年間利用料: 1,350ドル × 12ヶ月 = 16,200ドル

年間利用料 (円換算、1ドル=110円として): 16,200ドル × 110円 = 178.2万円

まとめ

初期導入費用

  • システムセットアップ: 50万円
  • トレーニング費用: 500万円
  • 合計: 550万円

月額利用料

  • Salesforce Sales Cloud: 990万円

追加機能費用

  • Salesforce Marketing Cloud: 825万円
  • Salesforce Service Cloud: 178.2万円

年間合計費用

  • 初期導入費用: 550万円
  • 月額利用料 (年間): 990万円
  • 追加機能費用 (年間): 1,003.2万円
  • 合計: 2,543.2万円

これらのコストを総合的に考慮して、導入を検討することが重要です。

業務効率化による時間削減効果

クラウドサービスが導入されると、業務が効率化されることで、どれだけの時間が削減できるかをシミュレーションします。

  • タスクの自動化: 定型業務の自動化による時間削減
  • コラボレーション効率: チーム間のコミュニケーションやプロジェクト管理の効率化
  • データ管理: データの一元管理による検索時間の短縮

これらの時間削減効果を具体的な時間数で見積もり、削減できる時間の人件費を計算します。

投資対効果の評価

通常の年間人件費やクラウドサービスの導入費や管理費など試算できたら、次はクラウドサービス導入による投資対効果(ROI)を評価しましょう。以下の式で計算します。

クラウドサービス導入による投資対効果(ROI)は、年間削減コストから年間クラウドコストを引いたものを、年間クラウドコストで割ることで試算されます。※年間削減コストは、削減された時間数に人件費の時間単価を掛けたものです。

ROIが高い場合、クラウドサービスの導入は経済的に有益であると判断されます。また、業務効率化により、社員がより価値の高い業務に集中できるようになる点も考慮します。

5つのステップで適切な経営判断を

クラウドサービスの導入において、以下の手順で人件費を考慮することが重要です。

  1. 人件費の総額を把握する
  2. クラウドサービスのコストと比較する
  3. 業務効率化による時間削減効果をシミュレーションする
  4. 投資対効果を評価する
  5. 経営判断を行う

これにより、クラウドサービスの導入がコスト削減と業務効率化にどれだけ貢献するかを明確に把握し、適切な経営判断を行うことができます。より細かな試算方法や自社の場合の適切な判断については、ぜひ専門家に相談してみてください。