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まだFAXと電話で在庫確認? BtoB EC導入で変わる受発注・在庫・倉庫業務の現場

作成者: ブロガー1|2025年6月23日

BtoB取引において、FAX・電話・手書き帳票といったアナログな手段に依存した受発注・在庫管理の運用は、今も多くの現場で続いています。
本記事では、そうした現場で日常的に発生している課題を具体的に取り上げ、それらを解決する手段としての「BtoB EC導入」の効果と、その導入にあたってのポイント、導入後に得られる成果を実例を交えて紹介します。

1. よくある現場の声(受発注・在庫業務の悩み)

  • 注文書をFAXしたが届いていないと言われ、再送が発生する
  • 電話注文で内容を聞き間違え、違う商品が届いてクレームに
  • 取引先ごとにフォーマットが異なり、毎回確認や変換が必要
  • 在庫確認は倉庫への電話。担当者が不在なら業務が止まる
  • 担当者しか把握していない業務が多く、引き継ぎが困難
  • 月末や繁忙期に注文が集中し、残業が常態化

 

2. 課題の根本原因を探る

ケース1:情報が分断されている:システムも担当者も“つながっていない”

受注はFAX、在庫は紙帳簿、出荷はExcelで管理。
そのため、注文書を確認 → 在庫を倉庫に電話で確認 → Excelに手入力 → 納品書を手作業で作成…という流れになっており、同じ情報を何度も転記・確認する“多重処理”が日常化しています。
この「情報の島化」が、ミスと時間のロスを生みます。

ケース2:属人化している:担当者がいなければ業務が止まる

「A商店からの発注は急ぎだから、Bさんが個別対応してる」
「C社の品番は変換が必要だけど、それはDさんしか知らない」

こうした属人対応が日常的に行われていると、業務フローが形式知にならず、人が変わると業務が回らないリスクが高まります。
加えて、異動・退職・病欠時に大きな混乱が生じるのも大きな問題です。

ケース3:情報反映が遅い:リアルタイムに在庫が見えない

午前に出荷処理した在庫が、午後の注文画面にまだ反映されておらず、“在庫あり”の状態で注文を受けてしまい出荷できない。
その結果、「あとから納期をずらす」「取引先に謝罪する」など、信頼低下や余計な手間が発生します。

ケース4:データが残らない:履歴管理や分析が困難

FAX注文や電話注文は、紙や口頭で終わるため、「誰が・いつ・何を・どれだけ発注したか」が社内に蓄積されません。
これは**「売上分析ができない」「クレーム対応が曖昧になる」「発注傾向が読めない」**といった、将来的な損失にもつながります。

ケース5:書類管理が非効率:紙の山が作業を止める

注文書・納品書・請求書が紙ベースで保管されており、探すのに時間がかかる、ファイルが破損している、内容の記載が不鮮明など、日常の業務が“紙探し”に時間を取られる状態に。
とくに月末・決算時には**「過去の履歴が見つからない」トラブルも頻発**します。

3. BtoB EC導入でどう変わるのか?

受注情報がECに集約される → ミスや転記作業が激減

従来:

FAXや電話、手書き注文書を元に、担当者が内容を読み取り、販売管理システムに手入力。
→「数字の読み違い」「聞き間違い」「入力漏れ」などのミスが頻発。

BtoB EC導入後:

取引先がECサイト上で商品・数量・納期を直接入力。注文内容は自動でデータ化され、基幹システムへ連携。
→ 転記不要、確認工数ゼロ。誰でも正確に処理できる仕組みが実現。

在庫情報がリアルタイム連携 → 売り越し・誤受注を防止

従来:

注文が入ってから倉庫に電話や紙台帳で在庫確認。更新が遅く、出荷直前に「在庫が足りない」と発覚。

BtoB EC導入後:

受注時に、在庫情報が自動で参照・表示される仕組みに。注文後はすぐに引当処理が行われ、他の注文とのバッティングを防止。
→ 出荷可能数を正確に提示でき、納期遅延やクレームが大幅に減少。

注文〜在庫引当〜出荷指示までが自動化 → 担当者不在でも業務が止まらない

従来:

「この顧客はいつも特急だから…」「この注文はB品扱いで」など、属人的な判断が必要なため、経験者でないと処理ができない。
→ 担当者が休みや退職すると、出荷遅延・確認ミスが頻発。

BtoB EC導入後:

定型フローに基づき、注文が入ると在庫を自動引当 → 出荷指示書を自動生成。帳票連携やピッキングリストも自動出力。
→ 誰でも、いつでも、同じ手順で処理可能な環境が構築され、属人性が解消。

 営業・事務・倉庫が「同じデータ」を見て動ける → 情報共有が円滑に

従来:

営業「○○社の注文、何が出荷済み?」
事務「確認します、ちょっと時間ください…」
倉庫「聞いてない注文がある」
→ 情報の伝達が口頭・紙・メールに依存し、二度手間・抜け漏れ・連絡遅れが常態化。

BtoB EC導入後:

受注・在庫・出荷状況がシステム上でリアルタイム共有。誰でもEC上で注文履歴・進捗を確認可能。
→ 営業、事務、倉庫間の横断的な情報連携が可能になり、「社内の問い合わせが激減」「ミスゼロの運用」が実現。

4. 導入を成功させるための3つのポイント

①【業務全体の可視化】

現場の業務フローを「見える化」し、ECで代替・補完する範囲を明確にすることが成功の第一歩です。

実施内容

  • 現在の「受注〜在庫確認〜出荷〜請求」までの一連の業務を業務フローチャートに整理
  • 門ごと(営業/事務/倉庫)に、誰が何を・どの順で処理しているかを棚卸
  • こがボトルネックになっているか、どこが属人化しているかを洗い出す
  • EC化の判断軸
  • ール化できるか?(例:いつも同じ注文フロー)
  • 度が高いか?(例:毎日発生する注文処理)
    → 人を介すことでエラーが起きていないか?→ これらの要素を満たす業務は、BtoB ECに置き換えることで効果が高い領域です。

【リアルタイム在庫連携】

「注文できたのに在庫がなかった」を防ぐには、在庫情報の鮮度と正確性が鍵です。

よくある失敗例

  • 在庫更新が日次バッチで遅延
  • ECとWMS(倉庫管理システム)の在庫数が一致しない
  • 出荷キャンセルが反映されず、過剰引当状態に

成功のポイント

  • 出荷完了時や在庫引当時点で即時に在庫反映される仕組みを構築する
  • 在庫の引当処理は「仮押さえ」「確定」などステータス分離で制御
  • WMSやkintone、基幹システムとの連携をAPI等で実装し、二重管理を回避

理想の運用

  • 取引先がEC上で「あと何個在庫があるか」「何日後に入荷予定か」を確認できる状態
    → 受注ミス・確認電話・納期ずれを未然に防止

③【ユーザー体験(UX)の設計】

ECは“使われてこそ”意味があります。特にBtoBでは“取引先の使いやすさ”が肝です。

UX設計の注意点

  • 商品名や品番検索がしづらい、検索しても見つからない
  • 注文履歴が見られず「前回と同じ内容で注文したい」ができない
  • 送料や納期が分からず、不安で結局電話してくる

実装すべき代表機能

  • カテゴリ検索・フリーワード検索の両方を用意
  • 注文履歴からの再注文(ワンクリック)
  • 配送希望日/納期目安の表示
  • お知らせ機能(メンテナンス、納期遅延など)
  • レスポンシブ対応(スマホ・タブレット対応)

5. 成果イメージ(定量変化と定性的メリット)

項目 導入前 導入後
FAX・電話注文 毎日20〜30件 月5件以下(段階移行)
在庫問合せの電話対応時間 毎日2〜3時間 ほぼゼロ
ピッキングミス件数 月10件以上 月1件以下
出荷処理時間(1件あたり) 約20分 約5分
属人化リスク フロー化・標準化で低減

6. 導入事例(業種別活用法)

● 製造業

部品・資材の注文と同時に在庫予約、仕掛品の進捗も見える化。社内の生産管理システムとの連携で出荷ミス・誤発注をゼロに。

● 卸売業

小売店からの定期発注をBtoB ECで自動化。キャンペーンや特売との連動で、注文しやすい構成を実現。

● 建材業

重さ・容積・配送地域に応じて出荷可能日を自動表示。在庫変動が激しい商材でも、リアルタイムに対応可能に。

● 食品業

賞味期限・ロット管理を含めた在庫表示で安全性を担保。業務用食材の業者向け注文がスムーズになり、誤配送も減少。

 

7. まとめ:BtoB ECは“業務改革”の入り口

BtoB ECは、単なるWeb注文サイトではありません。受注・出荷・在庫・顧客対応をつなぐ業務基盤そのものです。

業務負担の軽減、ミスの削減、スピード向上に加え、データの蓄積によって経営判断や営業戦略にも貢献する武器になります。

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