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営業情報が資産になる。kintoneで実現する戦略的営業管理
「案件管理だけで終わっていませんか?」kintoneは、単なる報告ツールではなく営業戦略を支える“情報基盤”にもなり得ます。
本記事では、Excelでの非効率な営業管理を脱却した事例に加えて、蓄積データを“戦略”に昇華させる方法をご紹介します。
1. 現場の課題 – Excelで営業はマネジメントできない
担当者の視点
- 案件ごとにExcelを作成し、週1で上長にメール提出
- 外出中や出先では確認・入力ができず、帰社後にまとめて報告
- ファイルのバージョンが分からなくなり、「最終版(本物)」が複数存在
- 顧客とのやり取りをメモ帳やLINEに書いており、整理や共有が面倒
「Excelのやりとりが面倒で、つい後回しに。結果、情報が古くなってしまう」
管理職の視点
- 提出されたExcelを毎回手作業で集計・統合
- 会議前に全営業の進捗を把握するのに数時間かかる
- 引継ぎや失注の原因がファイル上に記載されておらず、対策が打てない
- 営業判断を“勘と経験”に頼らざるを得ない状態に不安を感じていた
「個人の情報が属人化していて、チームとしての動きが見えなかった」
2. ケーススタディ–失注が減らず、売上が伸びない理由
事例①:「引継ぎしたはずが…」
異動で引き継いだ案件の情報が手帳や過去メールの中に点在。新任担当者がゼロから再提案し、顧客の信頼を損ねた。
原因:営業履歴の共有がなされていなかった。
■事例②:「案件の重複アプローチ」
2名の営業が同じ企業に提案していたことが発覚。顧客から不信感を持たれ失注。
原因:顧客管理が個人任せで、社内で情報が見えていなかった。
事例③:「報告が遅れてチャンスを逃す」
商談後に帰社してから報告しようとしたら、別案件が優先されてクロージングのタイミングを逸した。
原因:即時報告ができる環境がなく、対応スピードが落ちた。
3. kintone導入で業務がどう変わったか
Excel管理の限界を感じていた営業チームは、kintoneの導入を決断。導入からわずか3か月で、業務フローと情報共有の質が大きく変わりました。
以下は、導入前後での主な変化を比較したものです。
「誰が、どの案件を、どこまで進めているか」が可視化されたことで、担当者・マネージャーの両方にとって大きなメリットが生まれました。
項目 | Before(Excel) | After(kintone) |
---|---|---|
案件共有 | 個別管理 | 全体で一元化・リアルタイム更新 |
引継ぎ | メール・手帳 | 顧客ごとに履歴・資料添付で共有 |
商談報告 | 帰社後に手入力 | 外出先から即スマホで報告 |
顧客対応 | 担当不明・重複対応 | 担当者明確・アプローチ一元管理 |
会議準備 | 毎回集計に半日 | グラフと一覧で即対応 |
4. 蓄積データを“戦略”に変える3つの視点
kintoneで日々蓄積される営業データは、単なる「報告の記録」では終わりません。
しっかり設計されたアプリで入力されたデータは、集計・分析によって営業チーム全体の動きや傾向を見える化し、“次の一手”を導き出す材料になります。
①見込み案件のボトルネックを把握
ステータス別の件数や平均滞留日数を集計し、「どこで詰まっているか」が見える。
例:
- 「提案中」で長期間進んでいない案件が多い → 上長の同行支援を追加。
②提案精度の向上
受注・失注情報を分析し、成功しやすい条件(業種・金額帯・対応スピードなど)を特定。
例:
- 地方の中小企業+500万円以下の案件 → 高受注率
- 初回訪問から10日以内に提案 → クロージング成功率UP
③エリア戦略や重点アプローチの見直し
エリア別・業種別の成約数をグラフ化 → 地域ごとの優先度や展示会選定に活用。
例:
- 北海道:食品業界の受注多 → フォーカス強化
- 関東:競合優位の業種多 → 差別化提案の強化が必要
5. 成果につながるアプリ設計と改善サイクル
kintoneを導入しただけでは、成果にはつながりません。
本当に効果を出すためには、「どんな項目を入力するか」「どのように活用するか」まで設計段階から考え、現場にフィットするアプリとして育てていくことが重要です。
入力項目の工夫(分析視点で設計)
- 業種・地域・商談段階・失注理由を選択式にして定量化
- フリーテキストではなく分析しやすい形式で蓄積
ダッシュボード活用
- ステータス別件数グラフ
- 月別受注・失注数
- 担当者別進捗状況
→ 会議で毎回報告を用意せずとも「その場でkintoneを見るだけ」で済む
継続改善のサイクル
- 毎月、「失注理由TOP3」「進捗滞留TOP5」などをもとに施策を立案
- 小さな改善を1か月ごとに積み重ねて、提案精度を向上させる
6. まとめ
kintoneは、営業情報を「管理するだけ」で終わらせません。
蓄積されたデータを分析し、現場で“活きた戦略”に変えていく。それこそが、Excelにはないkintoneの強みです。
こんな変化が、実際に起きています
- 報告の時間が半減し、本来の営業活動に集中できるようになった
- 引き継ぎやミスが減り、顧客との信頼関係が安定した
- 失注や停滞の傾向をチームで共有し、改善のサイクルが生まれた
- 集計・会議準備の手間がなくなり、マネジメントの意思決定が早くなった
こんな会社に、kintoneは特におすすめです
- 営業担当が3人以上いて、情報共有が属人的になっている
- 顧客数や案件数が増え、Excelでは一覧管理に限界を感じている
- 管理職が感覚と勘でしかマネジメントできていない
- 営業戦略や改善に使える“数字”や“根拠”が不足していると感じている
(最後に)
「今あるExcelをそのままkintoneに置き換えるだけ」でも、情報のつながりと見える化は一歩進みます。
そしてその先には、“行動に移せる営業戦略”という価値が待っています。