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郵便料金値上げ。企業(経理部門)が取り組むべき対策とは

手紙やはがきなどの主な郵便料金が2024年10月に値上げすることが発表されました。
消費税率の引き上げによる値上げを除けば、郵便料金の値上げは実に30年ぶりとなります。
今回の値上げについて、値上げ率が3割以上の場合もあり、請求書等のDMを郵送している企業にとっては、費用負担が増加します。
この郵便料金値上げについてと企業がとるべき対策をご説明します。

郵便料金値上げについて

日本郵便のホームページによると、2024年10月1日から主な郵便料金が以下のように改定されます。

種類 重量 改訂前(9月30日まで) 改定後(10月1日から) UP率
定形郵便 25g以内 84円 110円 31%
50g以内 94円 17%
はがき 63円 85円 35%
定形外郵便(規格内)※ 50g以内 120円 140円 17%
100g以内 140円 180円 29%
150g以内 210円 270円 29%
250g以内 250円 320円 28%
特定記録郵便   160円 210円 31%
速達 250g以内 260円 300円 15%
書留 一般書留・現金書留 480円 480円 0%
簡易書留 350円 350円 0%
レターパック レターパックプラス 520円 600円 15%
レアーパックライト 370円 430円 16%

※定形外郵便の規格内とは、長編34cm以内、短編25cm以内、厚さ3cm以内、重量1kg以内を指します。

今回の改訂では、「書留」以外の郵便物は、全て値上がりとなります。

コストの増加

今回の郵便料金の値上げで、特に影響を受けるのは郵便を頻繁に利用する企業です。例えば、電気やガス、水道といった公共サービスの提供者、自治体や行政機関、または民間企業の中でも、以下のような業務を行っている企業が影響を受けやすいです。
  1.  多くの取引先に対して、毎月、請求書や納品書などの書類を郵送している
  2. 利用明細など定期的に郵便で通知を送っている
  3. ダイレクトメール(DM)やパンフレットなどの大量の印刷物を郵送している
特に、請求書や納品書といった書類に関しては、デジタル化が進んだ現在でも多くの企業が郵便を利用しているため、料金値上げの影響を受ける企業は多いと予想されます。

具体的な例

例えば、毎月500通の請求書を郵送していた場合、以下のようなコスト増加が見込まれます。

2024年9月30日まで
月間:84円×500件=42,000円(年間:504,000円)

2024年10月1日以降
月間:110円×500件=55,000円(年間:660,000円)

年間の差額で見ても156,000円の増加になります。

郵送コストの負担をできる限り軽減したい場合は、電子発行が可能な書類を電子化し、「ペーパーレス化」を進めることが最も効果的です。特に、毎月発行する請求書を電子化することで、確実にコスト削減の効果が期待できます。

請求書のペーパーレス化対策

PDF化してメール送信する方法

請求書を電子発行する最も手軽な方法は、請求書をPDF形式にしてメールに添付し、取引先のメールアドレスに送ることです。Excelや専用ソフトで作成した請求書を、そのままPDFとして保存すればいいので、新たなソフトを購入したり、サービス利用にコストをかけたりする必要はありません。

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しかし、この方法には、注意点があります。

送る前から送信に至るまでのミスに注意が必要

送信する前に事前にお取引の企業に対して、確認が必要です。また、請求書のPDF化からメールの送信までの作業が全て手作業になるため、送る請求書のPDFに間違いがないか。また、メール作成時には、送付するお取り先やご担当者名、メールの文面から添付するPDFのチェックまで、しっかり確認しなければなりません。特にメール送信時には、メールドレスの間違いなどによる誤送信もありえるため、それぞれ慎重な確認が必要になります。

メール送信時のセキュリティの配慮

請求書は、重要な書類なため、メール送信時のセキュリティ対策も講じなければなりません。

セキュリティ対策については、最近「PPAP」※1の危険性が指摘されており、政府や企業が「脱PPAP」を宣言するケースが増えています。そのため、メールセキュリティソフトやウイルス対策ソフトを導入したり、TLS/SSLやS/MIME※2を使って添付ファイルを暗号化して送信するなど、PPAPに代わる安全な対策を講じることが必要です。

※1:PPAPとは、パスワード付きのzipファイルをメールで送り、そのパスワードを別のメールで伝える方法を指します。
※2:TLS/SSLは、インターネット上のデータ通信を暗号化する技術で、S/MIMEは電子署名を使った暗号化技術です。

正本データの管理

請求書を電子発行する際は、「どれが正本なのか」や「正本データをどこで、どのように管理するか」といった社内ルールを明確にし、徹底することが重要です。特に、請求書をメールで送る方法は「電子取引」にあたるため、電子帳簿保存法に基づいた管理が必要になります。

発行する側は、請求書の控えも電子データで保存する義務があり、その際には「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。

「真実性の確保」

下記のいずれかを満たす必要があります。

  • タイムスタンプが付与された取引情報を受領する
  • 取引情報の受領後、速やかにタイムスタンプを付与するとともに、保存の実行者または監視者に関する情報を確認できる環境を整える
  • 訂正や削除を確認できるシステム、もしくは訂正や削除をできないようにするシステムで取引情報の受領および保存をおこなう
  • 訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め、それに沿った運用をおこなう
「可視性の確保」
  • 保存しているデータをいつでも速やかに見られるように、操作用の機器やソフトウェア・ディスプレイ・プリンタなどの出力機器を操作説明書と一緒に整然とした形で備え付けておく
  • システムの使い方がわかる書類を備え付けておく(システム概要書やシステム基本設計書など)
  • 検索機能(「日付」「取引金額」「取引先」での検索)を確保する

電子発行サービスを利用する方法

市場には、請求書や納品書などの証憑書類を電子発行するための多様なサービスが提供されています。これらのサービスは、それぞれの業務ニーズに応じて異なる特徴を持っており、企業は自社の業務フローに最も適したものを選ぶことが可能です。

例えば、単独で請求書の作成から発行まで完結できるサービスがあります。これにより、シンプルに電子化を進めたい企業でも、効率よく請求書を電子発行できます。一方で、「奉行Edge 発行請求書DXクラウド」のように、既存の販売管理システムと連携し、自動的に請求書の発行や管理が行えるサービスもあります。こうした連携型サービスは、すでに販売管理システムを利用している企業にとっては、業務の流れを大きく変えることなく電子発行を導入できるため、より便利です。

これらの電子発行サービスを活用すると、手作業による処理が大幅に軽減され、基本的には請求書を確認し、送信ボタンを押す程度の操作だけで済みます。このため、手間や時間を削減できるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも減らすことができ、業務効率が飛躍的に向上します。

さらに、多くの電子発行サービスは、電子帳簿保存法に準拠しており、書類の作成、発行、保存までを一貫して法令に則った形で管理できます。これにより、税務監査やコンプライアンスに対する対策も万全となり、企業としての信頼性向上にもつながります。また、法令に従った保存ができるため、紙の書類を大量に保管する必要がなくなり、物理的な保管スペースの削減や書類紛失のリスク回避にもつながります。

つまり、これらのサービスを導入することで、業務効率の改善だけでなく、法令遵守や管理体制の強化というメリットも得られ、企業全体の運営をよりスムーズかつ効率的に進めることができるのです。

奉行Edge 発行請求書DXクラウドのイメージ

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出典:OBC 「奉行Edge 発行請求書DXクラウド

今回の郵便料金改定は、コロナ禍における一時的な対応や制度改正への対策とは異なり、企業にとって直接的な「コスト負担増」という深刻な経営課題をもたらすものです。郵便料金の値上げにより、特に多くの郵送業務を抱える企業では、日常的な郵送コストが大幅に増加する可能性があります。このようなコスト増は、長期的な経営に影響を与えるため、対策が急務です。

その一方で、この状況を経営改善のチャンスと捉えることもできます。例えば、請求書の電子発行サービスを利用することで、郵送コストを削減できるだけでなく、業務全体の効率化も実現できます。電子発行に切り替えれば、物理的な郵送作業が不要となり、発送にかかる人手や時間を削減できるため、経理業務の生産性が向上します。また、郵送に関連するトラブル(紛失や遅延など)も減少し、よりスムーズな取引管理が可能になります。

さらに、電子発行サービスは、単にコストを削減するだけでなく、企業の「ペーパーレス化」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を加速させる大きな契機となります。経理業務のDX化により、紙の請求書を使わないことはもちろん、請求書の作成、発行、保管、そして取引先とのやり取りまでをデジタルで一元管理することができ、業務フロー全体が効率化されます。このような電子化の進展は、環境負荷の軽減にも貢献する一方で、企業の競争力を高める要因にもなります。

郵便料金の値上げに備えるだけでなく、経理業務のデジタル化を推進するためにも、たとえば「奉行Edge 発行請求書DXクラウド」のようなサービスの導入を検討してみる価値は十分にあります。このサービスは、既存の販売管理システムと連携し、請求書の作成から発行までを自動化できるため、手間を大幅に削減しつつ法令に準拠した管理が可能です。また、電子帳簿保存法にも対応しているため、法的要件を満たしながら効率的なデータ管理が実現します。

今回の郵便料金改定を単なるコスト増として捉えるのではなく、経理業務のDX化や業務改善の機会として捉えることで、企業の長期的な成長や競争力向上にもつながるでしょう。

コスト削減や業務効率化などをご検討の企業様は、ぜひ、弊社へご相談ください。

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