年末調整は、大量の書類処理や確認作業が伴い、人事労務担当者の負担が大きい業務です。この問題を解決する方法として「年末調整の電子化」が注目されています。...
年末調整が圧倒的に楽になる!電子化のススメ
年末調整は年に1回という頻度ですが、多くの企業にとって手間がかかる作業です。紙で行っているがゆえ、書き方を忘れてしまったり、書き直しに手間取ったりと課題も多いもの。電子化することで、煩雑な手続きや書類の作成・管理が劇的に簡略化され、時間と労力を大幅に削減できます。
本記事では、年末調整をスムーズに進めるための電子化のメリットと具体的な導入方法を紹介します。
年末調整時、こんな無理無駄でてませんか?
紙ベースでの手続きが主流な「年末調整業務」。
申告書用紙を従業員のために準備しなくてはならなかったり、作成に不慣れな従業員にいれば書き方を指導したりと、担当者は書類を回収するまで様々なサポート追われてしまっているのではないでしょうか?回収後も、税額計算を行い入力の不備や計算に誤りがないか、わざわざ確認・検算する作業があります。そして、不備がある場合には差し戻して修正してもらう。たくさんの時間を割いてしまっています。
年末調整の準備期間も含めると、税務署に書類を提出するまで約2〜3ヶ月かかってしまい、大変手間のかかる業務となっているのが実情です。年末調整の電子化は、こういった負担の大きな事務処理業務を簡便化し、効率化するために進められています。
年末調整時、電子化できる書類とは
2020年以降は、年末調整の電子化にまつわる法改正が毎年行われており、今では税務署への事前申請も不必要になりました。2023年現在、年末調整手続きに必要な書類は、次のようにほぼ電子提出が認められています。
※出典 国税庁 | PDF「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」
こうした年末調整の電子化は、今後もますます加速していくでしょう。
年末調整の電子化による3つの主なメリット
年末調整の電子化には具体的に以下のようなメリットがあります。
※出典 国税庁 | PDF「年末調整の電子化について~スケジュール編~」
控除額などの計算の際に、紙の場合は「記載する場所がどこかわからない」「手計算によるミス」が発生しがちです。一方電子化することで、入力の誤りは減り、自動計算により検算は不要になります。大幅は作業量時間削減、正確さの向上につながります。
※出典 国税庁 | PDF「年末調整の電子化について~スケジュール編~」
控除証明書もデータで保管できるので、紛失のリスクもなくなり、自動的に入力されるので簡単で安心して利用することができます。
※出典 国税庁 | PDF「年末調整の電子化について~スケジュール編~」
紙のデータの場合、郵送や出社して手渡しする必要がありますが、データであればその必要もありません。テレワークの際も、その場で提出できます。また、これまで7年間保管が必要だった紙書類。場所を取りますし、劣化や紛失のリスクもありました。一方データであれば、スペースを確保することなく安全に保管できます。
一方、電子化には次のようなデメリットも存在します。システム導入に伴う初期費用やランニングコストがかかる、システムの運用やメンテナンスにリソースが必要、データの漏えいやセキュリティリスクが懸念されるなど。
これらのメリットとデメリットを考慮し、組織のニーズや予算に合わせて電子化を検討する必要があります。
システム選びのポイントは?
年末調整の電子化には、年末調整システムの導入が必要です。では、どのようなシステムを検討すればいいのでしょうか。
代表的なものでは、国税庁が無償提供している年調ソフトなどもあります。民間からも様々なクラウドサービスが提供されています。民間のシステムの場合、利用料はかかりますが、従業員の申告をサポートする機能や担当者の業務をアシストする機能も充実しており、使い勝手も良いため高いコストパフォーマンスが期待できるでしょう。
また、国税庁は「年末調整の電子化実現案」として、以下の図のように次の4つの案をしてしています。民間のクラウドサービスを利用すれば、社内LANやメール送信で従業員から情報を吸い上げる手間もなくなります。より業務をラクに進めることができると言えます。
とはいっても年末調整の課題は、企業ごとによってかなり異なります。最適なシステムを検討する際には、ぜひ専門家に相談されてみてください。