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CRMとWebマーケティングで顧客との関係を“見える化・育成”する

営業成果が伸び悩んでいる、リピーターが育たない、Web施策の効果が見えない…。こうした現場の課題は、顧客の“見えない行動”や“つながりの断絶”に原因があります。
本記事では、CRM(顧客関係管理)とWebマーケティングを組み合わせた仕組みで、これらの課題をどう乗り越えるかを解説します。

1. はじめに ― なぜ今、CRMとWebマーケティングが必要なのか

従来の営業・販促手法は、売り手主導の「情報発信」型でした。しかし、今は顧客が自ら情報を選び、比較し、購入を決定します。
この変化に対応するには、顧客の行動を把握し、関係性を育てるアプローチが不可欠。CRMとWebマーケティングの連携は、それを可能にする“仕組みの要”です。

2. よくある課題 ― 顧客との関係が「つながらない」5つの理由

①見込み顧客が“流れて”しまう

展示会や問い合わせフォームから集まったリードが、営業に渡ったまま放置。
「まだ温度が低いから」と後回しにしているうちに、競合に取られてしまうことも。

問題の本質:リードの“育成(ナーチャリング)”の仕組みがない。

②顧客情報がバラバラで、引き継ぎや対応が属人化

営業はExcel、カスタマーサポートはメール、マーケは別システム…。
「このお客様、過去にクレームがあったって聞いたけど?」「前回誰が担当だったっけ?」など、対応履歴が見えないことで機会損失や信頼低下を招いています。

問題の本質:情報の一元管理ができておらず、部門間連携も不十分。

③フォローが一度きり。関係が続かない

「一度売ったら終わり」では、LTV(顧客生涯価値)は伸びません。
購入後の情報提供や活用サポートがないと、他社への乗り換えや自然消滅も起こりやすいです。

問題の本質:顧客フォローが“設計”されていない。

④Web施策の成果がわからない

メルマガやSNS、広告運用をしていても、「誰が見て、どこで離脱しているか」がわからない。
改善のしようがなく、施策が“自己満足”で終わってしまいます。

問題の本質:顧客行動データを取得・分析できていない。

⑤営業とマーケが連携できていない

「マーケが集めたリードは温度が低い」「営業の成果につながってない」とお互いに不満を抱えたまま、顧客の対応が分断。結果として商談化率も下がります

問題の本質:顧客データやKPIを共有していないことによる連携不足。

3. 解決のカギ ― CRM × Webマーケティングの連携で実現すること

CRMとWebマーケティングを連携することで、「顧客を知る」「育てる」「つなぐ」をデータと仕組みで実現できます。以下に主な仕組みと得られる効果をまとめます。

① 顧客情報の一元管理

仕組み

氏名・連絡先・企業属性・購買履歴・問い合わせ履歴などをCRMで統合管理。営業・サポート・マーケティングの全員が同じ情報にアクセス可能に。

効果

  • 対応漏れや重複対応の防止
  • 引き継ぎ・共有の効率化
  • 顧客に「自分をわかってくれている」という安心感を提供

② Web上の行動データの可視化・スコアリング

仕組み

MAツールでWebサイトの閲覧・メールの開封・資料ダウンロードなどの行動を取得。行動に応じて「関心度スコア」を自動算出。

効果

  • 「今、関心が高まっている顧客」がひと目でわかる
  • 営業が“タイミングよく”アプローチでき、商談化率UP
  • 熱量の高い顧客から優先的にフォロー可能

③ ナーチャリング(顧客育成)の自動化

仕組み

顧客の興味・検討フェーズに応じて、ステップメールやLINE通知、Web広告を自動配信。内容は行動履歴に応じて出し分けも可能。

効果

  • 顧客が自発的に検討を進める流れを作れる
  • 購買意欲を“自然に育てる”ことで押し売り不要に
  • 一度買った顧客との接点も継続でき、LTV向上へ

④ PDCA運用によるマーケティングの継続改善

仕組み

開封率、クリック率、コンバージョン率などを自動で可視化。どの施策が効果的だったかを分析し、改善策を次回に反映。

効果

  • 感覚的でなく“数字に基づく”判断ができる
  • 成果につながる施策だけを洗練させていける
  • 施策の費用対効果が明確になり、社内説明もしやすい

⑤ 営業・マーケの連携と社内全体の生産性向上

仕組み

CRM・MAを通じて、営業とマーケが「同じ顧客データ」「同じ評価軸(スコアなど)」を見ながら連携。

効果

  • 営業が“温度感のある顧客”に集中できる
  • マーケが営業の成果につながる施策を打ちやすくなる
  • 社内での情報格差・セクショナリズムが解消される

 

4. 実践のポイント ― 成功する企業が取り組んでいる3つの視点

CRMとWebマーケティングを導入しただけでは成果は出ません。成果を出している企業には、共通して次の3つの視点があります。

① 顧客視点のシナリオ設計

ポイント

顧客の検討フェーズや行動履歴に合わせて、「どんな情報を・どのタイミングで・どのチャネルで」届けるかを計画することが重要です。

ステージ別設計(参考)

ステージ 顧客の状態 有効なアプローチ
情報収集 問題に気づき始めた 初心者向けの解説記事/ホワイトペーパーDL誘導
比較検討 複数社を検討中 導入事例/料金表/機能比較資料の配信
決定直前 具体的な導入を検討 無料相談/見積もり案内/キャンペーン連絡
購入後 フォロー・活用中 操作ガイド/FAQ/アップセル案内

成果

顧客の関心や状態に合った情報を届けることで、反応率やコンバージョン率が大幅に向上します。

② データを“使う”文化の醸

ポイント

CRMやMAに蓄積されたデータを、「ただ入力するだけ」では意味がありません。現場で「見て・使って・判断する”文化」を育てる必要があります。

実践例

  • 営業MTGで毎週「ホットリード一覧(スコア上位者)」を確認
  • マーケ会議で「前月の開封率/CV率」ランキングを共有
  • カスタマーサクセスが「アクティブユーザーのログイン頻度」から離脱兆候を早期把握

成果

データを「共有財産」として扱うことで、意思決定の精度が上がり、施策のスピード・的確さも向上します。

③ スモールスタート → PDCAによる継続改善

ポイント

完璧な仕組みを一気に作ろうとせず、「小さく始めて、数字を見て改善する」ことが成功の近道です。

実践ステップ例:

フェーズ 顧客の状態 有効なアプローチ
ステップ1 メルマガ月1配信を開始 開封率・クリック率
ステップ2 ホットリードに営業通知 商談化率・架電数
ステップ3 ステップメールを自動配信 到達率・解除率
ステップ4 フォームやLINEと連携 CV数・離脱率

改善の観点

  • 最も反応がよかった件名・コンテンツは?
  • スコア基準は最適か?
  • 行動しないリードに別アプローチが必要か?

成果

初期投資を抑えながら確実に施策を洗練させ、「勝ちパターン」を再現できる状態へと成長していきます。

 

5. 代表的なMAツール比較

MA(マーケティングオートメーション)とは?
マーケティング活動を自動化・効率化するツールや仕組みのことを指します。たとえば、見込み顧客の行動履歴に基づいて、最適なタイミングでメールを送ったり、Webサイトの閲覧状況をもとにスコアリングしたりといった施策が可能です。
CRMと連携することで、顧客育成から営業支援まで、より一貫した顧客対応が可能になります。

HubSpot(ハブスポット)

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直感的な操作性と充実した無料プランが魅力。CRMとMAが一体となっており、リード管理〜営業支援までをシームレスに実現。中小企業に最適。

Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot)

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Salesforceと完全連携するBtoB特化型MAツール。営業とマーケの連携を強力に支援し、スコアリングやトラッキング機能も充実。

Marketo Engage(マルケト)

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Adobeが提供するエンタープライズ向けMAツール。柔軟なシナリオ設計と高度なパーソナライズ配信が可能で、グローバル企業や大規模導入に最適。

SATORI(サトリ)

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匿名ユーザーのトラッキングに強く、見込み客の初期段階からナーチャリングを実施できる国産MA。BtoCやEC領域にも対応。

b→dash(ビーダッシュ)

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データ統合(CDP)・MA・BI分析を一元化できる国産ツール。SQL不要でデータ活用でき、マーケティング施策の自動化と分析を一体で管理可能。

Kairos3(カイロススリー)

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リーズナブルでシンプルな構成が特徴の国産MAツール。初めてMAに取り組む企業やリソースが限られる中小企業でも導入しやすい。


6. まとめ ― 信頼を積み上げるマーケティングが、次の成長をつくる

CRMとWebマーケティングは、顧客の信頼と関係を“仕組みとして維持する”ための武器です。
属人化や一過性の施策ではなく、継続的に顧客を見守り、価値を提供し続ける流れを作ることで、LTV向上・商談化率改善・コスト効率の良い集客が実現します。

まずは:

  • 顧客情報の整理とCRMの導入
  • 行動トラッキングやスコアリングの仕組み化
  • 月1のメルマガからでもOK。小さな改善を継続していく

 

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